なぜ一部上場企業を辞めてまで、司法書士を目指したのですか?
会社を辞めて以来、多くの方からこの質問を受けました。
家族や友人からも「もったいない!」という否定的な意見が多かったです。
私は京都にある半導体メーカーでLEDや液晶の材料調達を担当していました。
当時は携帯電話の販売台数が右肩上がりに増え続けていた時代です。
携帯電話以外にもソニーさんや任天堂さんのゲーム機も好調で、私たちバイヤーも大忙しでした。材料の海外調達も盛んになりはじめ、私は国内国外を問わず、飛び回っていました。やりがいも感じていましたが仕事に慣れてきた私はこう考えるようになりました。
自分の仕事は、この携帯の部品のそのまた材料をコストダウンすること。
コストダウンにより、もちろん会社の利益は増えるのだが、果たして携帯が数円安くなっただけで一般のお客さんは幸せになってくれているのだろうか?
幸せって何だろう?
幸せとは、ちょっとしたことにも喜びを感じられる、不安や心配のない普通の生活を送れることじゃないだろうか。
そんな普通の生活を送るサポートができる仕事がしたい!
そう思うようになっていました。
そんな時、図書館司書のことだと思っていた司法書士が登記や裁判書類を作成する法律職だということを知り、司法書士を目指し始めたのです。
サラリーマンから一転、貧乏受験生時代
会社をやめる際に車は売却し、賃貸マンションは引き払い、風呂なし、シャワー・トイレ・キッチン共同、家賃月2万円の古いアパートに引越しました。
今時の学生ならまず住まないであろうアパートです。
「試験に合格するまでは家でくつろぐ時間なんてない。家は雨風しのげて寝られれば十分だ」と考えていました。
会社を辞めた私にとって、資格予備校の受講料は高額でした。
サラリーマン時代の貯金はすぐに底をつきました。
学生時代の奨学金や年金、健康保険料、住民税は払えなくなり、免除・減額申請に走りました。
学費と生活費を稼ぐために、昼間は司法書士事務所、夜は郵便局で郵便物の仕分けのアルバイトを掛け持ちしていたこともあります。
寝袋を持ち歩き、スキマ時間は仮眠を取るか勉強するかという生活でしたから、いつもふらふらで倒れそうになりながら気力だけ生きておりました。
その時に、人間はある程度寝なきゃだめだ、ということが身を持ってわかりました。
実家が農家だという友達にお米を分けてもらい、朝、昼、晩三食おにぎりのみという生活を送った時期もあります。
お茶やジュースを買うなんて贅沢なので、スーパーのフードコートで無料の水を飲んでいました。
おにぎりのバリエーションは、鮭フレーク、ゆかり、のりたまのふりかけだけだったので、すぐに飽きました。
司法書士事務所での修行は厳しかったです。
私よりも先に入所していた先輩も、新しく入ってきた後輩もどんどん辞めていきました。
一日も耐えられず、入所初日に涙を流しながら退所された方もいました。
仕事では一文字のミスも無い100%完璧な書類を美しくスピーディーに作成しなければなりません。
手や物が飛んでくるということはありませんでしたが、ミスしてはならないというボスからのプレッシャーに皆さん耐えられなかったのだと思います。
登記業務をマスターした後、債務整理も担当するようなりました。
幸い前職がバイヤーでしたので、交渉には慣れています。
大幅な減額交渉に成功した際には、厳しかった所長から
「さすがに君は会社員時代こんなことばっかりやってただけあるな。」
とほめられたことが記憶に残っています。
苦しかった司法書士試験
司法書士試験の合格率は2.8%
試験科目は11科目です。
午前:択一式
- 憲法
- 民法
- 刑法
- 商法
- 不動産登記法
- 商業登記法
- 民事訴訟法
- 民事執行法
- 民事保全法
- 供託法
- 司法書士法
午後:記述式
- 不動産登記法
- 商業登記法
試験は年に1回。
税理士試験のように科目合格制度はありません。
法律とは無関係な生活を送ってきた私にとって、この試験は試練でした。
終わりが見えないくらい覚えることがありました。
1日15時間くらい勉強していて腱鞘炎になり、病院で痛み止めの注射を打ってもらいながら勉強を続けたこともあります。
合格発表後に届く点数表を見ると、0.5点差で落ちていたり、1点差で落ちていたり、毎年ギリギリで不合格になっていました。
試験の神様に「おまえは本当に司法書士になりたいのか。本当になりたいのならまた這い上がって来い!」と言われているようでした。
結局、合格するまで5年かかりました。
簡単に合格していたら、自分は調子に乗った感じの悪い司法書士になっていたかもしれません。
毎年毎年「自分は本当に司法書士になりたいのか」と自問自答を繰り返したお陰で、この仕事やお客様に対し、謙虚な姿勢で向き合えるようになったのではないかと思います。
どんな司法書士でありたいか
正しい登記や遺言を作成して将来の紛争を防止したり、借金を整理して現在の問題を解決する、これが私たちの仕事です。
いい結果を残すためには依頼者様と信頼関係を築くことが大切です。
たとえば、胃が痛くなってお医者さんに行くケースで考えてみます。
Aというお医者さんは、上から目線で大した説明もなく、「薬を出すから飲んでおきなさい」と一言で診察を終えます(こういうお医者さんよくいませんか?)。
Bというお医者さんは患者さんの話を聞き、「この症状なら○○だと考えられます。処方する薬は○○という薬で○○に効果的です。飲み方は○○です。一週間程度でよくなると思いますから安心して下さい。もし、何か気になることがあったらまたいつでも診察に来てくださいね。」と優しく対応します。
あなたならどちらのお医者さんに診てもらいたいですか?
Aのお医者さんに当たった患者さんは、診察を受けた後も「俺は胃がんじゃなかろうか」とか「いつ治るんだろう」とかいろいろ考えてしまい、不安な日々を送り、回復が遅れるかもしれません。
私達の仕事もお医者さんと似たようなところがあります。
不安を抱えてやってきたお客様の話をじっくり聞き、必要な手続き、解決への道筋をお客様が理解できる言葉でわかりやすく説明し、安心して手続きしていただく、それが私達の使命です。
司法書士には他の専門家と同じく、「とっつきにくい」「敷居が高い」「えらそう」「愛想がない」というイメージをお持ちの方がいらっしゃるかも知れません。
残念ながら、先生と呼ばれることが多い職業だからなのか、自分が偉いと勘違いして、上から横柄に話す司法書士がいるのは事実です。
私も仕事で他の司法書士に連絡をするときは身構えるくらいです。
司法書士である私ですらそうなのですから、一般のお客様にとって司法書士に連絡するのはとても勇気がいる行為だと想像します。
私は、勇気を出して連絡してきてくださったお客様への感謝を忘れず、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉のように、知識や経験を得れば得るほど、物腰柔らかく、謙虚にお客様に接することのできる司法書士でありたいと思います。
不動産の登記にかける想い
不動産は大切な財産の一つです。
人によっては、命の次に大切にしているかもしれません。
そんな大切な財産である不動産を安心して所有するには登記が必要です。
2024年4月1日から、相続による名義変更登記が義務化されました。
不動産の名義変更せずに放置していると、あなたの大切なお子様、お孫様、その先のお子様が困ります。
面倒な登記をお客様の代わりにスムーズに完了させることで、あなただけでなく、ご家族、子々孫々まで、末永く安心してお暮らしいただきたいと切に願っております。
代表者プロフィール
- 司法書士
- 簡裁訴訟代理等関係業務法務大臣認定
- 行政書士(未登録)
- 宅地建物取引士(未登録)
- 日本語教育能力検定合格
家族・趣味
家族:妻と息子(2009年生まれ)と娘(2012年生まれ)
血液型:A型
趣味:献血(現在199回)、マラソン(自己ベスト:2時間58分 走り出して10kg以上体重が落ちました。以前の方がふっくらして幸せそうだったと依頼者様に言われます。。。)
好きなドラマ:『リーガル・ハイ』『野ブタ。をプロデュース』
好きな食べ物:ケンタッキー、唐揚げ、ココイチのカレー、お寿司、お刺身
苦手な食べ物:生牡蠣(よくあたる)、かいわれ大根
座右の銘:『何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く。 』
好きな芸人さん:トータルテンボス、サンドウィッチマン、我が家
略歴
昭和49年 | 愛媛県生まれ。中学、高校時代はバレーボール部。ただし、身長は161cm。 |
平成6年 | 同志社大学経済学部に入学。E.S.S(英語研究会)ディベートセクションに所属。 |
平成10年 | 大学卒業後、京都にあるローム株式会社に入社。バイヤーとして、LED、液晶等の材料調達を担当。日々納期交渉、価格交渉にあたる。 新人のころは部署の宴会で女装をして盛り上げるなど、日本人ビジネスマンとしての基礎を学ぶ。 |
平成13年 | 会社勤めをしながら、司法書士試験受験予備校に通い始める。 |
平成14年 | ローム株式会社退社→無職→フリーター。 |
平成15年 | 京都の司法書士事務所に勤務。宅地建物取引士試験合格。 |
平成17年 | 大阪の司法書士事務所に勤務。 |
平成18年
平成19年 |
司法書士試験合格。 簡裁訴訟代理業務認定取得。 |
平成23年 | 行政書士試験合格(未登録)。 |
平成27年 | 大阪市北区西天満5丁目に事務所移転。 |
ブログ
司法書士業務のブログ
登記や債務整理など司法書士のお仕事について情報発信しています。
ランニングについて書いたブログ
マラソンについて情報発信するブログです。